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個別法則「定滑車は力を1/2にしない」
講談社 ブルーバックス『パズル物理入門』都築著 にある
「ペンキ屋の冒険」の問題は、多くの学校で生徒に考えさせ、実験されているものである。
私が前任校でアンケートを取ったところ、8割を越す生徒から「面白い」といって評価された問題である。
その後も授業に必ず取り入れ、考えさせることにしている。
本校の物理実験室の改築のときには、要望を出して、この実験が出来るように天井から大きなフックを取りつけてもらった。
でもこれは生徒のご機嫌伺いをしているわけではない。
この問題が生徒にうけるには訳がある。中学までに学んだ個別法則「定滑車は力を1/2にしない」が定着し常識となっているため、
静力学の一般法則である力のつりあいと作用反作用の法則を元にした考え方と対立し、
議論となる問題であり、力の矢印を正確に描き静力学の基本からしっかりと考えないとだめだ、ということを身にしみて感じさせる問題である。
静力学の基本を理解しているかどうかを調べるのによい問題だから、大学入試問題にも何度か現れている。
だから楽しくこの問題をやり、しかも、入試対策も出来るのはありがたいことだ。
【留意点】この図のような形で実験をすると、怪我をするので、実験をする人は、ゴンドラの上に座り、ロープを抱え込むようにするなど常にバランスが崩れることのないように工夫してください。
また、バネ秤と滑車も落ちないように、しっかりと取りつけること。
私は人命救助用のブリーン結び(「もやい結び」ともいう)で取りつけている。
また、準備に時間がかからないように登山用品カラビナで滑車を吊っている。
参考文献 『パズル物理入門』 都築著 講談社ブルーバックス
『なわ(ロープ・紐・糸)結び』 おほつき編著 総合科学出版
本質を理解すれば物が作れる
物が分かるとはどういうことか。一言で分かるといっても、いろいろな段階がある。それの順番に挙げてみよう。
- まず始めは、授業のように、他の人の説明を聴いたり、本を読んだりして理解する。
- 他の人に自分お言葉を使って説明できるようになる。
他人に説明をするためには聴いて分かる段階より否でも応でもさらに高い認識段階に飛躍しなければならない。 -
しかし、これだけでは、まだ本当に理解したとは言い切れない。第三段階として、本質をしっかり身につける最高の認識段階がある。
自然科学についていうならば、自然法則を完全に理解していれば、それを使って、物を作ることが出来るはずである。
自然法則を意識的に適用し、新しい物を作る、すなわち、技術と結び付けて始めて、本質を理解したといえる。
「最高の認識段階にまで到達しよう」と生徒に訴えるものとして、楽器を作る話題を紹介する。
「楽器の音の高さは発音たいの振動の基本振動数によって決まる」このことを理解すれば、楽器が作れるということだ。
まとめ
以上のように具体的な実験を通して法則を理解させるように、授業の工夫をすることが大切だと思う。
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