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鉄が磁化するとき何が起こっているか

1973/06/21全国教育研究集会で発表したものを元に

すべてのものに磁性がある

鉄が磁石になる

鉄が磁石に引き付けられるのは分かるが、鉄がなぜ磁石を引き着けるのか不思議である。鉄はそのまま磁石を引っ張っているのではなく、鉄が磁石となり、磁石と磁石が磁場を仲立ちとして引き合っている。では、鉄が磁石になるそのメカニズムを少し考えてみよう。

もともと鉄の内部には、ばらばらの方向を向いた磁区があり、そこに外部から磁界がかかればその分子磁石の方向が磁界の方向にそろえられ、全体としては磁石となるのである。

また、鉄にくっついた磁石を熱すると、温度がキュリー点を超えたところで分子運動のため、分子磁石の方向がばらばらに向いてしまい、磁性を失って鐵から離れて落ちてしまう。

このような現象のモデル実験に次のような教材がなっているわけである。

磁化のデモ実験

分子磁石、磁区のモデル

フェライト磁石の割れてしまったものはどこの学校にもあると思います。廃物利用を考えましょう。
大変な作業ですが、割れてしまったフェライト磁石をもっと細かく砕きます。
学校の理科室には鉄乳鉢があるので、この作業には重宝します。細かく砕いてしまった欠片は磁石でしょうか。
それを確かめるためにはどうしたらいいのでしょうか。
そうです。ゼムクリップなど鉄製品を近づけてみましょう。すると、小さなかけらも磁石のままです。クリップに飛びついてきます。

これらのように一つ一つは磁石でも砕いてしまうと、全体では磁石の性質を失ってしまいます。これを再び磁石に復活させてやることができます。上の写真のように試験管に粉と砕けた粉磁石を入れて、試験管を強力な磁石にこすりつけてください。
すると粉磁石が強力な磁界の中で全体に整頓されてフリップを持ち上げられるほどの磁石になります。

鉄を磁石にくっつけるときには鉄の中でこのようなことが起こっているのです。このデモ実験で見たようなことが起こっているのです。鉄が磁化するときに中でどんなことが起こっているが想像できのではないでしょうか。

この磁石になった試験管磁石を手にトントンと何度も打ち付け、振動を与えると磁石の性質を失ってしまいます。
鉄を熱してキューリー点を越してしまえば磁石の性質を失うことを示すのにとてもいいモデル実験ができるのです。

極性のある水の分子

このように極性のある分子からできている雨粒に帯電した雷雲が近づいてきたらどのようなことが起こるのでしょうか。
帯電した雷雲の周りには電界ができています。その電界により水の分子は向きをそろえられてしまいます。
だから、雨粒としても極性を示すようになります。このように極性を持つようになった雨粒同士は静電気力で互いに引き合い、くっついてしまうのです。
これが夕立のとき雨粒が大きくなる原因です。

このことを確かめる実験はあるのでしょうか。次のような実験をやってみましょう。
水道の水を細いガラス管に導き、噴水を作ります。そこへ下敷きなどを帯電させたものを近づけてください。
簡単にできる実験なのでおすすめです。

強い電界を作ればいいのではないかと思い、バン・デ・グラフの静電気発生装置を使ってみました。
すると、結果はどうなったでしょうか。
水は大粒にはなりませんでした。
 これはなぜでしょうか。強い電界のために水の分子は整頓されるけれど、粒同士の静電気力よりバン・デ・グラフの装置が引く力の方が大きくて、
小さい粒のまま、この装置の方へ引き寄せられてしまうと考えました。
みなさんはどのようにお考えですか。

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