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2 非合理志向には楽しく身近な科学の教育を
『理科教室』1999年12月号の実践記録に掲載したものを元に加筆訂正
最終修正
私のアンケート調査では毎年同じように幽霊や超能力を信じる生徒が多いので、
理科の教師としてこのことにどのように対処していったらいいのか考えていこうと思います。
マスコミの影響はやはり大きいので、私たちが一市民としていい番組には激励の意見を送り、
悪いと思った番組にはどんどん批判的な意見を出していく必要があるのではないでしょうか。
もうひとつ考えないといけない問題があります。
それは私たち理科の教員が授業の中でこれをどのように扱っていったらいいかという問題です。
ユリゲラーが登場し、超能力ブームが起こった頃は彼の行うことはマジックであり、
超能力などというものではないと一生懸命説明していました。
しかし、いくら説明しても生徒にはなかなか納得してもらえませんでした。
愛知の林正幸さんが隠す実験の大切さを主張されたのをきっかけにして、私はこのような問題の取り上げ方を変えています。
私は授業の中で、始めに自分は超能力者であるといって、いろいろな手品をやり、生徒に考えさせています。
1999年は年度のはじめの授業で、次のようなことをやって見せました。
- 超能力を使って、触ってもいないペンを落としました。
- 超能力を使って、五円玉の小さな穴にパチンコの玉を通しました。
-
ペンローズの不思議な三角形の証拠写真を撮りました。
- 口の小さい瓶の中に入れた棒にボルトとナットをはめておきました。瓶の中のボルトとナットを取り出すことができるか。
- 三辺の長さが3cm、4cm、5cmとなる直角三角形の木片に念力を送ると直角トライアングルパワーがつくため ベルトでバランスをとることができます。
1995年のアンケート調査では私の超能力(ペン落しのみ行った)でも肯定的に考え、それを信じた生徒が約25%もありました。
私たちの仲間には同じことをやって約80%もの生徒に信じさせた人もいます。
もちろんこの調査の後ではマジックの種明かしもきちんと説明し、マスコミのいうことも先生のいうことだって、
鵜呑みにせず疑って自分の頭で考えることが大切であると訴えました。
科学教育研究協議会の山梨大会で他の方からも指摘されていましたが、正しいことを先生がいえばそのように思うというのでもいけないと思います。
誰がいうことでもそれをそのまま信じるようではいけません。
先ず疑うことが大切です。自分の頭で必ず考え、時には仲間と討論をしすぐには結論を急がず、ゆっくりと考えていこう。
結論を急がず、じっくりと考えていくのが科学的な態度ではないでしょうか。
このことをもっと子どもたちに強調して教えていきましょう。
理科の授業で子どもたちの非合理志向に対処するには私はどんな教材の中でも次のことをしっかりと押さえ、
私たちが出した本の実験や科協協のお楽しみ広場にあるもので、
楽しく科学を身近に感じさせる教材を広めていくことが大切だと思います。
- 世の中の仕組みはすべて法則的に考えていくことができること。
- 何もかも科学で扱えるわけではないが、科学的な考えを身につけていけば誰でも楽しくいろいろななぞを解いていけること。
-
不思議なことがあれば、なぜと問う心が大切です。今の科学で分かっていないことは沢山あります。すぐに結論を急がず、
調べ考えていこう。これが科学的な態度です。 - 手作りの実験器具を見せ、科学は身近で手の届くものであることを知らせる。
- 科学的な考えを身につければ、デマを見ぬき、未来を切り開く武器となるものとなる。
3 実践教材例
最近授業で実践し、生徒の評判のよかった教材をここに紹介します。
アルミ缶楽器
- 科学と超能力アンケート
- 壁を突き破る指とミツバチの目
- 歯車楽器
- アルミ缶楽器
- 地下鉄切符の暗号解読
- 手作り分光器
- 渦巻きを手の中に
- アナモルフォーシス ひずみ絵
- 床屋さんテレビとアニメの原理(現在の液晶テレビではどのように左右を反転させるのでしょうか。)
- ペンローズの不思議な三角形
- 瓶のなかのボルトとナットを取り出せるか?
- 『中日新聞1997.5.27.夕刊』
- 『超能力を科学する』かもがわ出版
- 『いきいき物理わくわく実験1』改訂版日本評論社 検索ファイルを作りました。欲しい方は連絡してください。
- 『いきいき物理わくわく実験2』改訂版日本評論社
- 『実験のしおり』第1回NEC
- 『岐阜物理サークルニュース』
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