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2.3 カリウムによる内部被曝

【問題4】カリウムによる内部被曝はどれくらいになるのか
カリウムによる内部被曝

自然界のカリウムには3種類の核種が存在する。その存在比は19K39 93.22 % : 19K40 0.0118% : 19K41 6.77 % である。
ここで存在比の一番少ない19K40だけは放射能を出す。
その半減期もT=1.28*109年と大変長い。内部被曝を考えるにはこの半減期が長いことが問題である。
半減期が大変長いから自然界のどこにでも一定の割合で存在する。
私たちの身体の中にも同じ割合で存在する。19K40の崩壊は2種類ある。
19K4018Ar40 + γ 核外電子捕獲 11%

1.46[MeV]これだけ大きいと電子対創成も起こる

19K4020Ca40 + β- ベータ崩壊 89 %

1.33[MeV]平均エネルギー

まず、ベータ崩壊による内部被曝の計算をしてみよう。

体重60kgの男性の体内カリウム量を調べてみると、個人差も大きいようだが本により相当の差がある。
1.『これでわかるからだのなかの放射能』安斎育郎著 合同出版 p.33 p.34 p.55
2.『茶の間で語り合う原発と放射能』安斎育郎著 かもがわ出版ブックレット
3.『原子とつきあう本』板倉聖宣著 仮説社
4.『人間と放射線 医療用X線から原発まで』ジョン・W・ゴフマン著 明石書店 p.481
ここでは参考文献 1 のp.34の図②より体内カリウム量を120gとする。

同位体の核種存在比より体内にある19K40の質量は
120*0.0118÷100 = 1.416*10-2[g]
= 14.16[mg]
アヴォガドロ数NA=6.02*1023より
体内にある19K40の原子数は
N = (120÷40)*(0.0118÷100)*6.02*1023
= 2.13*1020
cf.『これでわかるからだのなかの放射能』安斎育郎著 合同出版 p.45
cf.『原発事故 そのときあなたは!』瀬尾健 風媒社 p.133

19K40の半減期はT=1.28*109年である。
半減期Tと崩壊定数λとの関係は次の式で表されるので

λ = loge2/T

放射性崩壊の法則より

dN/dt = (loge2/T) *N
= 0.69314718*2.134*1020÷(1.28*109*365*24*60*60)
= 3659.38[Bq]

  1. この19K40ベータ線による内部被曝の線量当量を求めてみると
    E = 1.33*106*3659.38*1.6*10-19*365*24*60*60*89÷100÷60
    = 3.6427*10-4[Sv/年]
    = 0.364[mSv/年]
  2. つぎにガンマ線による内部被曝の線量当量は半分のガンマ線は身体の外に出てしまうものとして計算する。
    E = 1.46*106*3659.38*1.6×10-19*365*24*60*60*11÷100÷60÷2
    = 2.47*10-5[Sv/年]
    = 0.024[mSv/年]

ここで計算した内部被曝線量等量の合計は
0.364 + 0.024 = 0.388[mSv/年]
となるが、ホールボディカウンタでの実測値はだいたい0.2[mSv/年]とのことで二倍の値になってしまう。どこに間違いがあるのか皆さんに教えていただきたい。
cf.『これでわかるからだのなかの放射能』安斎育郎著 合同出版 p.57
cf.『放射能と健康』舘野之男著 岩波新書 p.69、p.70

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