嘔吐と吐出

嘔吐とは

嘔吐とは、消化器系、呼吸器系、筋肉骨格系および神経系の共同

作用によって胃や小腸上部の内容物が口から激しく吐き出される

事を言います。犬や猫に時折見られる単発的な嘔吐は正常なもの

ですが、頻繁または持続的に繰り返される嘔吐は異常です。

嘔吐の原因は、消化器官の機能障害、代謝性疾患、および消化管壁

の疾患が考えられます。これらの障害の原因には、犬ジステンパー

やパルボウイルスなどの伝染病、寄生虫病、中毒、異物や腸重積

による消化管の閉塞、胃や腸の潰瘍および腫瘍、腎不全、糖尿病

急性膵炎、胃腸炎、幽門狭窄、塩酸欠乏症などが挙げられます。

嘔吐が激しく、または長期に渡って続くと、動物は脱水症状を起こし

衰弱、嗜眠、抑うつ状態などを現します。また、ナトリウムやカリウム

などを電解質が喪失され、症状が著しく悪化する場合がありますので

異常が認められたならば早期に獣医師の診療を受ける必要があります。





家庭での注意点

嘔吐が止まった後も体が正常な状態に戻るまでには1回の給餌量は

少なくし、頻回(1日3〜6回)に分けて与える事が望まれます。

また嘔吐が十分制御されるまでは高消化率のフードを与えたえます。





吐出とは

吐出とは、消化されていない食物が胃に到達する前に口または

食道から逆流して吐き出されることです。咀嚼された食物が採食後

数分間に吐き出される事もまれにありますが、一般的には採食

直後に未消化のまま吐き出されるので、嘔吐とははっきり鑑別する

事が出来ます。慢性的に吐出しを繰り返す犬や猫では、脱水症、

衰弱、栄養失調、および誤嚥性肺炎などを現す場合もあります。





食餌管理

吐出の急性原因には、食道または咽頭の異物、外傷、中毒

および感染症による食道炎または咽頭炎などが挙げられます。

慢性のものには、先天性巨大食道、輪状咽頭筋弛緩不能症、

血管輪の奇型、狭窄、および腫瘍などが挙げられますが巨体

食道以外の原因となる疾患の多くは、外科手術で改善する事が

出来ます。しかし、治療の成功には、術後の犬や猫に対する食餌

管理が非常に重要で、術後一週間は流動食をチューブ給与する

必要があります。流動食は高消化率で栄養素バランスの正しい

食物をペースト状にしたものが適しています。また巨大食道の犬

では、半生タイプの食物を高い位置の置き、後肢で立ち上がり

食道が垂直になるような姿勢で採食させると食物が胃まで到達

し、吐出を防ぐことが出来ることもあります。