世界に広がる憲法9条


国連ミレニアム・フォーラムとは

 2000年5月、106カ国1350人が参加して、国連本部で「ミレニアム・フォー
ラム」が開かれました。
同年九月のミレニアム・サミット、国連ミレニアム総会とともに、
アナン国連事務総長の提案で開催された一連のミレニアム会議のNGO(非政
府組織)版で、貧困ぼく滅基金の創設、多国籍企業向けの行動規範、軍備の
凍結および小火器密売対策など、幅広い行動を提案しました。

このうちの「平和・安全保障及び軍縮テーマグループの最終報告書」では「平和
への人間の権利に関する共同宣言の提案及び、
世界人権宣言に『平和への権利』をふくめる」「すべての国が日本国憲法9条に
のべられている戦争放棄の原則を自国の憲法において採択する」という提案が
とりあげられました。

このミレニアム・フォーラムの一年前の1999年5月には、オランダで「ハーグ平
和アピール市民社会会議」が開かれました。
そこでは、「公正な世界秩序のための十の基本原則」を採択し、冒頭の第一原
則に「各国議会は、日本国憲法9条のように、政府が戦争をすることを禁止する
決議を採択すべきである」とうたいました。

このように世界の平和NGOでは、日本国憲法9条が、世界がめざすべき平和
な未来への普遍的なシンボルとして広がりつつあります。

アメリカでは、米国憲法に憲法9条の精神を織り込むことをめざす「憲法9条の
会」が生まれています。
オハイオ大学名誉教授のオーバービー氏は「日本の憲法9条は『戦争の支配』
に取って代わる『法の支配』という全人類の力強い理想と知恵の声明だ」と言っ
ています。
EU(ヨーロッパ連合)憲法に「戦争放棄」条項を書き込もうという運動も起きてい
ます。憲法9条は「時代遅れ」どころか、国際的にも、いよいよ光り注目されると
きです。

2,9条に注目したGPPAC(ジーパック)とは?

  GPPAC(ジーパック)というのは、世界の多くの市民団体(NGO)が、協力し合
ってつくりあげている平和運動の一つです。
正式名称を「武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ(The Global
Partnership for the Prevention of Armed Conflict)」といい、頭文字をとってGP
PAC(ジーパック)とよばれています。

4年前、国連のアナン事務総長が、紛争予防のためには市民の役割が大切だ
として、NGO国際会議の開催をよびかけました。
これにこたえ、世界を15の地域に分けて準備会合が開かれ、北東アジアは05
年2月に東京の国連大学で、
7月には国連本部で世界会議が開かれ、118カ国900人以上が参加した同会
議で確認された「世界行動宣言」は、憲法9条を次のように評価しています。

 「世界には、規範的・法的誓約が地域の安定を促進し信頼を増進させるための
重要な役割を果たしている地域がある。
例えば日本国憲法第9条は、紛争解決の手段としての戦争を放棄するとともに、
その目的での戦力の保持を放棄している。これは、アジア太平洋地域全体の集
団安全保障の土台となってきた」

 「集団安全保障」とは、国連の平和ルールを意味する言葉です。これまでも、
1999年のハーグ平和アピール会議や2000年の国連ミレニアムフォーラムを
はじめ、NGOの会議では憲法9条の大切さが確認されてきました。

 今回のジーパックの宣言が重要な点は、その憲法9条がアジア太平洋の全
域において、平和の国際ルールの役割をもつことが確認された点です。

 なお、05年8月15日、ジーパックはアジアを中心とする新聞に、9条の大切さ
を訴える意見広告の掲載をよびかけました。9カ国12の新聞が意見広告を載
せました。






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