低血糖

低血糖とは

低血糖というのは、エネルギー源となる血液中の糖が著しく減少している

状態のことで、体内で糖の利用が増加している場合と、糖の生産が低下し

ている場合の2つに大別されます。血糖は直接のエネルギー源ですので、

これが欠乏すると全身の衰弱、運動失調、放心状態あるいは盲目、ヒステ

リー、痙攣などの神経症状がみられ、激しい場合には昏睡状態になります

低血糖を起こす疾患には次のようなものがあります。1)糖原病(グリコ

ーゲン貯蔵病):これは糖代謝に必要な酵素の欠乏によるもので、グリコ

ーゲンがグルコースへ転換されないために起ります。主として6〜12週

齢の幼犬に見られますが、それも小型種に多いようです。2)若年性低血

糖:これも小型の幼犬に多く見られる低血糖で、仔犬のグリコーゲン貯蔵

病とも呼ばれます。これは成長すれば自然に治りますが、飢餓、興奮ある

いは寒さなどの環境ストレスで悪化します。3)新生子低血糖症:新生子

は母乳が不足するとか、吸う力が弱いと急速に脱水と低血糖を起こします

つまり母親または新生子、あるいは両者に原因があり、前者では母乳炎や

栄養失調、後者では環境温度の低下に伴う新生子の低体温(新生子は体温

調節ができない)または未熟子などです。即ち空腹が直接の原因です。新

生子はエネルギーの予備をほとんど持っていません。4)猟犬の低血糖症

:狩猟開始後1〜2時間に神経質で痩せた、闘志の旺盛な犬によく起りま

す。休息させると数分で回復するのが普通ですが、その日は終日疲れきっ

た状態で猟の役には立ちません。これらの他に、膵臓の腫瘍(インスリノ

ーマ)、飢餓、衰弱、肝疾患などでも起ります。