鼓腸

鼓腸(胃拡張ー胃捻転症候群)とは

鼓腸とは胃内に泡を含んだ食粥とガスが充満して胃が極度に膨ら

む病気(胃拡張)で、胃の軸がねじれ(胃捻転)食物が上にも下

にも完全にまたはほとんど通らなくなることが主な原因です。脾臓

も一緒にねじれてしまうことがあります。これは緊急を要する疾患

で速やかに獣医師の処置を受けないとショックに陥り、短時間に死

亡してしまいます。発症はグレート・デンを初め秋田犬、シェパー

ドなど大型犬に多く、小型犬や猫に起こる事は極めてまれです。

食後2時間から6時間ぐらいにお腹が急に膨らみ、犬はよだれを垂

らし、しばしば吐こうとしますが吐く事ができません。拡張した

胃は腹部の静脈を圧迫し、血液の循環障害を起こします。症状は急

速に危篤状態に陥り、勿論立つ事もできなくなります。

胃拡張を起こす誘因には、胃の支持組織の伸びすぎ、競ってガツ

ガツ採食する、食物の胃内停留時間が長い、などがあげられます。

特に胃内停留時間に関しては発育過程におけるカルシウムの過剰摂

取が原因の1つであると考えられています。カルシウムはガストリ

ンという物質の分泌を促進しています。ガストリン分泌亢進は胃酸

分泌の促進、胃の収縮力を弱める、胃粘膜を肥厚させる、などの原

因になります。胃粘膜の肥厚は胃が空なるのを防げます。またカル

シウムの過剰摂取の母親から生まれた子犬も将来鼓腸を起こしやす

い犬になる可能性が高いといわれています。





家庭での注意点

食物は静かで犬が安心して食べられる環境で与えて下さい。2頭以上

犬を飼っている場合はそれぞれ別の場所で給餌します。給餌の直前

食事中、食後1時間以内の興奮や運動を避けなければなりません。