原 発

なんで誰も言わないんだろう
ほんとは みんなわかっていて
知らないフリをしているだけなんだろう?
日本には原発があって
たとえば どこかの国の
人工衛星という名のミサイルが
わざと誤って
原発に落ちてきたとしたら
どうなるか
想像力を駆使しなくてもわかるだろう
そういう意味で
私は原発というのは
剥き出しの地雷だと思っています



   簡単なミサイル

ハエを殺す時
素手で「パンッ!」とやるには
なかなか技術がいるということで
人はハエ叩きなるものを考え出した
すると もう少し有効で
簡便な物はないかと編み出されたのが
ジェット噴射でハエ・カを落とす
殺虫剤(無香料)であった

昔 私の母は
カもハエもゴキブリも素手で殺していた
勢い余って窓を割って
手にケガをするぐらいであった

命を素手で殺さなくなった
ハエを殺ったのは私ではなくて
私が噴射した殺虫剤だった
私は痛くもかゆくもなかった
ただ あとの拭き掃除が大変だけであった

近い未来 
ハエを殺すのに
とても簡単なミサイルが使われないことを
私は望む



   百年後の灰

どうせ 俺たち
百年後には灰になる仲
恐いものなんてあるか
もっと お互い
気をつかうことなく
素直に嫌いになろうぜ
べろべろばーだ!



   仰向きの日常

腹が減るということが
生きてるってことだ
それを満たしていくということが
生きていくということだ
そして それだけでいいんだ
ただ それだけが
実に面倒で大変で
厄介なことで
偉大なことなんだ
とわかったところで
やっぱり少しでも
自分ですることが欲しくて
点滴の速度を自分で速めてやった
仰向きの日常と
青空の非日常



  宣 誓

この世に希望など
ない
この世に無限の可能性も
ない
この世に絶対など
絶対ない
そう自覚し
そう覚悟し
それでも生きてきた

それでも生きている

それでも生きていく

それだけで
ぼくは
ぼくたちは
ぼくたちや私たちを
正々堂々と
抱きしめてもいいのではないか





作品集