悩むが価値

勉強ができなくて悩んだり
逆上がりができなくて悩んだり
思うようにいかなくて悩んだり
病気を悩んだり
突然の別れを悩んだりと
せっかく悩みがあるのなら
簡単に解決したりせずに
しっかりと悩もう
苦しみ 悩み
悩み続け
考え抜いた答えが
うまくいかなくても
しっかりと悩んだことに
価値があると思い込みたい
そして時には思い詰め過ぎず
逃げろ
逃げる勇気を持て
別に人生は悩まなくても
生きていけるのだから
もうこれ以上ダメだと思った時
そんな時は
逃げろ
そして生きろ
何もしなくていい
何もしなくていい
何もしないということをすればいい
だから
もうこれ以上ダメだと思った時は
そんな時は
逃げろ
そして生きろ
生きて 生きて
ただ生きていてくれ
よろしくお願いします



   恐がることを恐れてはいけない

恐がることを恐れてはいけない

誰だって
何だって
最初は恐いんだ
不安なものなんだ
不安なんてあってあたりまえ
不安がないほうが
かえって不安

半歩だろうが
1/3歩だろうが
前へ踏み出したら
立派な一歩だ

恐がることを恐れてはいけない

ちゃんとビビっているか?
恐怖心は克服するものではない
武者震いもしなけりゃ
武士にもなれやしない

明日が来なきゃいいと思った者にしか
得られない明後日もあるだろう

怖かったら
恐がっていいんだ
怖かったら
恐いって叫んでいいんだ
それを隠すほうがよっぽど臆病者だ

恐がることを恐れてはいけない
恐がることを恐れてはいけない



   母の日に

母の日の三日前に
十才の子どもに言う
「おまえ、もうすぐ母の日だから
お母さんに内緒で手紙書いとけよ」
「うん、わかった!」

母の日 当日
車の中 
嫁と子どもの二人だけ
「あっ!今日母の日だった!
お母さんに内緒で渡す手紙
書くの忘れてた!
どうしよう、お母さん」
「・・・・」



   僕は君を忘れて生きていく

僕は君を忘れて生きていく
ほら 仕事はそこそこ忙しいし
たまの休みは子どもを連れて
この前はプラネリウムだったかな?行ったし
ハードディスクのドラマも見なきゃいけないし
家の草取りもしなきゃいけない
ネパールでは大地震があったし
シャープの業績は悪く
自衛隊の集団的自衛権を認める日も近いだろう
ね、だからいくら君が若くして
死んだからといって
僕は君だけに気をかけていられないんだよ
僕は君の死にとらわれていられるほど
偉くもないし
暇でもない
なんてね
そんなふうに言えたら
どんなに楽だろうね
僕は君を忘れて生きていく
僕は君を忘れて生きていく
そんな日が いつか
ほんとに来るのだろうか



  全てはかわいい一大事

人の死に出逢うたびに思い出す
人は死ぬのだと
病院にリハビリに通っている老人も
ベビーカーの赤ちゃんも
タバコをポイ捨てした馬鹿野郎も
号泣した市会議員も
ゴーストライターも
俺も
俺の嫁も
俺の息子たちも
死ぬ
いつか みんな死ぬ
もしかしたら滝の水公園から見た景色や
金華山から見た夜景も
猿投温泉の湯煙にも寿命があるのかも
風や雲や雨や雪も
もしかしたら 死ぬのかもしれない
永久なんてものなど何ひとつない
そう考えると
たかだかちょっとしたことなど大目に見る
子どもの算数の点が悪い
志望大学に落ちた
給料が下がった
事業に失敗した
嘘ついた
浮気した
不倫した
それが どうした!
何ボのもんじゃい!
人の死を前にしたら
全てはかわいい一大事
そんなことなんとでもなるんじゃないのか
何やったっていいよ
何やったっていいんだよ
不自由という裁量の中で
自由にやればいいんだ
どうせ いつかはみんな死ぬんだから
おこがましい言い方だけど
人の死を前にしたら
全てを許せそうな気さえする
死というものはそれほど
すごい力を持っている
死という発光力
死という再生力
死という生命力
そうか
きっと そうだったんだよ

きっと死は優しさだったんだな





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