物語〜天体鑑賞スクール


[注意] 以下に示すのはフィクションです。内容についての責任は持てません。 ただし、登場する天体は実在しますので、ご自分で鑑賞されることをお勧めします。


少女A: 「寒いからレギンスはいてきちゃった。」
少女B: 「Cちゃんのスキニー、お洒落ね。」
少女C: 「Bちゃんこそ、サロペットがお似合いよ!」
少年A: 「彼女達は何の話をしているのだろう?」
少年B: 「新しいゲームのことかな?」
コーチ: 「彼女達の話は難しいよね。最近は天体観測者の高齢化が著しいので、その人たちの為の若者語講座でも開講しようかな?! 望遠鏡メーカーも新しい市場開拓の為に、エディターズバッグにすっぽり入るような望遠鏡をバッグとセットで販売したり、モードとかコンサバとかを意識したデザインの製品開発に力を入れるべきじゃないかな?」
少年C: 「難しい話なら僕もできるよ!
ストラテジック・アドバイザーがリコメンドしたレイテストのスキームに基づくアクション のステータスをインベスティゲートしたところ、若干のビハインドであるが、 充分にキャッチアップでき、このまま進むとTBDとなっていたECDのセットも 可能であり、ASAPで取り組むことが重要であるということがクリアになった。」
コーチ: 「キミはいくつだよ!!
ところで今日のレッスンは“ベテランから学べ!”というテーマで、 ベテランの人の観望風景を見学しながらベテランになる為の素養を身に付けてもらおうと思います。 さあ皆さん自由に見学し、質問があったらコーチ(私)に聞いてください。」
少年C: 「コーチ。あの人、首をおさえながらうずくまっている。大丈夫なの?」
コーチ: 「ああ、あの人ね。彼は屈折望遠鏡に天頂プリズムを付けると 像が裏返るから嫌だと言って、天頂プリズムなしで無理な姿勢で覗いているんだ。 いつものことなので心配ない、心配ない。」
少年A: 「皆が『すごい、すごい、五つ子が見える』って言うから覗かせて貰ったのだけど、 小さなシミみたいのが少しあっただけ!何がすごいの?」
コーチ: 「たぶんステファンの五つ子のことだね。観望マニアは米粒のような この天体を全部見たことを、さり気なく自慢する風潮があるんだよ。」
少年B: 「そういえばコーチも以前はこの天体に興味無しと言っていたけど、 いつだったか急に話題にするようになったよね。やっぱり自慢したかったんだ」
コーチ: 「(話をすりかえるように)他に質問は?」
少年B: 「あの人もう3時間も小さな望遠鏡の接眼部を覗いている。何してるの?」
コーチ: 「彼は手動ガイドマニアと言って、星野写真を撮る時モータドライヴを 使わずに手でレバーを回して星の動きを追っているのだよ。だから彼が見ているのは十字線と星1つだけ。 望遠レンズのガイドのときはトイレにも行かずに頑張るんだよね。」
少女B: 「面白いの?」
コーチ: 「きっと面白くないと思うよ。何時間も頑張ったのに、フィルムの装填が悪くて 何も写ってなかったなんてこともあったりして、昔の人は苦労したのだよ。」
少女B: 「今更そんな苦労をしなくても良いと思うけど?」
コーチ: 「そうだね。でも3時間も同じ星を見つめるってすごいと思わない? もっとも私は浮気がばれてから一日中妻に監視されているけど、、。」
少女A: 「こーち、あの人ぶつぶつ言いながら星を見ていて何かへん!」
コーチ: 「彼は某メーカーのホームページにある製品インプレッション記事担当の人だよ。 だから彼はつい星を見た印象を臨場感たっぷりに表現しちゃうんだ。 ちょっと聞き耳を立ててみようか」
大人A: 「さらさらと流れる秋の天の川の中に漂うNGC7635に75cmを向け、 パンオプ35mmで覗いてみる。するとノーフィルターでも丸い泡のような星雲が見えてくる。 昔の人はこれをシャボン玉と名づけたらしいがまさにそのとおりである。 もっとも写真と異なり眼視で見るシャボン玉は淡くて今にも壊れそうではあるが、、。」
少女C: 「きもちわるっ!」
コーチ: 「そんなこと言っちゃ駄目です。こんな記事に感動して製品を買う人もいるんだから。」 (筆者注:私もいっぱい買っちゃいました。」
少女B: 「こーち、どこからかクラシック音楽が流れてきてるけど、、。」
コーチ: 「クラシックを聞きながら作業をすると心が落ち着くし、 それに高尚な感じがするから、お奨めですよ。 今流れているのはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番作品18の第2楽章だね。 演奏はユージン・オーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団で、 ピアノはアントゥール・ルービンシュタインじゃ無いかな? この演奏のカデンツァの部分をはじめて聴いた時には「これだ!」と言って思わずひざを叩いたものだよ。 」
少年A: 「なんだか頭よさげでかっこいい! ひょっとして、これってナンパにも使えるの?」
コーチ: 「私が学生の頃、金持ちのお嬢さんが通う音楽大学の近くのクラシック喫茶で バイトをしていたんだ。客の女の子が店内で流れる音楽にうっとりしている時に 「私のうちのアキュフェーズとタンノイのオーディオシステムでこの曲を聴いてみない? 特にトゥッティの部分には痺れるぜ!」と誘ったものだが、集まってくるのは、 オーディオ好きのオヤジばかり、、。ナンパに難しい話はタブーだね。」
少女B: 「ところでこーちぃ、テニスラケットを 持ってきている人がいるけど、天体観測に必要なの?」
コーチ: 「さっきからひらがなで”こーち”と言われている気がするけど、 どうしてかな?」
少年A: 「親しみの表現でしょ!カタカナは硬すぎる!!」
コーチ: 「まあ、どうでもいいです。 ラケットを持ってきている人は、家族を残して独りで遠征することを許してもらえない為、 昼間に高原のテニスコートで家族と一緒に汗を流し、風呂に入ってから、夜に星を見に出かけて来るんだ。 昼にくたくたになるまでテニスをしておけば、家族の人はすぐに寝ちゃうので出かけやすくなるけど、 本人も星を見るための体力を失っているから大変なんだ。」
少女C: 「苦労しているんだね。でもコーチはこれが仕事だから大丈夫だよね!」
コーチ: 「こんなことくらいで食えるはずが無いでしょ! 私は夜はコーチ、昼はバイトで大変なんだ。女房にも監視されているし、、。
さて皆さん、参考になりましたか?今日学んだことを今後の活動に活かしてくださいね。」
少女C: 「どのベテランの人を参考にすればいいの? 変な人ばっかだったじゃないの?」
コーチ: 「普通の人はこんなマニアックなHPは見に来ないでしょ! キミ達も同じだよ!」
おしまい


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