呉三桂

　中国・明代末期〜清代初期の人物。
　武挙に及第し、後に清国への備えとして山海関の守将となった。李自成の乱により北京が陥落して明王朝が滅亡すると、山海関を開いて清軍を中原に引き入れ帰順した。これは、李自成軍に捉えられた愛妾・陳円円を奪い返すためだったともいわれる。
　清軍の助力を得て李自成軍を撃退し北京を奪うと、平西王に封じられた。以後、清国の将として転戦し、明の亡命政権（南明）を討って永暦帝を殺し、明王朝を完全に滅ぼした。その功により雲南を領し、勢力を拡大して清国から半ば独立した勢力を築いた。
　康熙帝が勢力削減に乗り出すと、清王朝に対して反旗を翻し、耿精忠・尚之信が呼応して中華南部を制圧した（三藩の乱）。明王朝復興の大義を掲げるが民衆の支持を得られず、次第に形勢が不利となって尚之信、耿精忠が相次いで降伏した。
　これにより孤立したが存命中は最後まで独立を保ち、遂には周を建国して帝位を称するに至った。しかし、まもなく病に倒れて世を去り、その後わずか３年で鎮圧された。
　享年六十七。