玄宗

略伝

り　りゅうき
李隆基
げんそう
（玄宗）
（685～762）

　中国・唐代中期の人物。唐第六代皇帝。則天武后の孫にあたる。
　則天武后に倣って唐室を奪おうとした韋皇后（中宗の皇后）らを討って父の睿宗を復位させると、この功により皇太子となった。間もなくして睿宗から譲位されて帝位に就くと、対立した叔母（則天武后の娘）の太平公主を打倒して、実権を皇帝の手に取り戻した。
　政権を掌握すると元号を開元と改め、姚崇、宋璟、韓休ら賢臣を積極的に登用して政治改革に乗り出し、唐代の最盛期となる「開元の治」を築き上げた。
　治世が長期化すると次第に政治への熱意が冷め、李林甫の専横を許して国政に混乱を招き、自身は遊興にふけって政治を顧みなくなった。
　この時、子の寿王の妃であった楊貴妃を後宮に入れて溺愛し、楊貴妃の一族である楊国忠を重用した。楊国忠の勢いは李林甫の死後ますます盛んとなり、玄宗の寵愛を受けた節度使の安禄山と対立して反乱を誘発させた（安史の乱）。
　安禄山の軍勢が長安に迫ると、楊貴妃らを伴って蜀へと落ち延びるが、その道中で将兵らの強い要求に圧されて、楊貴妃らの殺害を許した。そこで退位して子の李亨（粛宗）に位を譲って上皇となった。その後、安史の乱が平定されて長安へ戻るが、間もなく世を去った。
　享年七十八。

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